
オフショア開発を検討しているものの、予算をあまり確保できず、どこの国が最も安いのか調べている方もいるでしょう。
オフショア開発は「単価が安い=コストメリットが大きい」とは限らないため、長期的にみてどの国が自社の開発体制に合うのかを見極める必要があります。
この記事では、オフショア開発の単価の相場や比較する際のポイントなどを紹介します。
オフショア開発の単価とは

オフショア開発の単価とは、海外の開発会社に委託する際に発生するコストのことです。多くの場合「1人月」の単位が用いられ、1人のエンジニアが1か月間フルタイムで働く際のコストを意味します。
オフショア開発の単価は、拠点国やエンジニアのスキルレベルなどによって大きく異なるため、それぞれの費用感を把握しなければなりません。たとえば、ベトナムのエンジニア単価は「約30万円/人月」中国では「約50万円/人月」のように、それぞれの国の物価や人材供給によって差があります。
なお、単価にはエンジニアの人件費だけでなく、管理費やインフラ費用、開発会社の利益なども上乗せされます。
オフショア開発の単価を決める5つの要素

オフショア開発の単価は、複数の要素によって決まります。それぞれの要素について理解を深めて、コストと品質のバランスを最適化し、無駄なコストを削減しながらより高い成果を得ましょう。
ここでは、オフショア開発の単価を決める5つの要素について紹介します。
1. 国ごとの物価や給与水準
オフショア開発の単価は、依頼する国の物価やエンジニアの給与水準によって大きく変わります。物価が低い国では、エンジニアの給料も比較的安く設定されるため、全体の開発コストを抑えることが可能です。
たとえば、ミャンマーやバングラデシュは、生活費や平均給与が日本と比べて低いため、単価を抑えられます。そのため、コストを優先する企業はミャンマーやバングラデシュを開発拠点として選ぶケースが増えています。
一方、中国やインドのように経済成長が進みIT産業が発展している国では、エンジニアの給与も年々上昇しがちです。特に、中国では国内企業のIT需要が高まっており、オフショア開発向けの低コスト人材が減少しています。
中国は以前、低コストで優秀なエンジニアが確保できる国として人気だったものの、現在ではベトナムやフィリピンなどと他の国へシフトする企業も増えています。
2. エンジニアのスキルレベル
オフショア開発の単価は、エンジニアの技術レベルや経験によって大きく異なります。
たとえば、経験の浅い「ジュニアエンジニア」と豊富な実績を持つ「シニアエンジニア」では、単価が異なります。特に、プロジェクトを円滑に進めるための「プロジェクトマネージャー(PM)」や、開発全体を監督する「テックリード」を確保する場合、それに応じた追加コストを支払わなければなりません。
同じオフショア開発でも「要望通りのシステムを作るだけ」のプロジェクトと、「技術的な課題を解決しながら開発を進める」のでは、必要なスキルが大きく異なります。
単価だけを見て安いエンジニアを選んでしまうと、開発の途中でスキル不足によるトラブルが発生し、結果的に追加のコストがかかるでしょう。
そのため、単価の安さだけで判断するのではなく「どのようなスキルが必要か?経験豊富なエンジニアは必要か?」を考えたうえで、適切な人材を選びましょう。
3. 開発の難易度
オフショア開発の単価は、開発するシステムの種類や技術の複雑さによって大きく異なります。なぜなら、単純な機能を持つシステムと、高度な技術が必要なシステムでは、開発にかかる時間やエンジニアのスキルレベルが異なるためです。
一般的なWebシステムやスマホアプリの開発は、標準化された技術を使うため、単価を抑えられる傾向にあります。
一方、AIを活用したシステムやIoT、ブロックチェーンのような新しい技術を取り入れた開発では、より高度な専門知識が必要です。技術的な難易度が高いため、スキルのあるエンジニアを確保する必要がありその結果、単価が上がります。
また、単に技術の複雑さだけでなく、業界ごとの要件も単価に影響を与えます。特に、金融や医療分野のシステム開発では、厳格なセキュリティ対策や法規制への対応が必要です。
たとえば、クレジットカード決済システムでは、不正アクセスを防ぐための高度なセキュリティ対策が必要であり、開発コストが増加します。同様に、医療機関向けのシステムでは、患者の個人情報を厳格に管理する必要があり、より慎重な設計が求められるため、開発単価が高くなるでしょう。
オフショア開発を検討する際は「どのレベルの技術が必要なのか」「特別な要件はあるのか」を事前に整理し、適した開発先を選びましょう。
4. 契約形態
オフショア開発のコストは、どのような契約を結ぶかによって異なります。契約形態には、大きく分けて下記の2種類があります。
- 請負型契約……特定のプロジェクトごとに契約を結び、成果物を納品してもらう方式
- ラボ型契約……一定期間にわたって開発チームを確保し、継続的に開発を進める方式
請負型契約では、開発のスケジュールや納期があらかじめ決まっているため、短期間で特定の成果物を納品してもらう場合におすすめです。ただし、プロジェクト単位での契約となるため、コストはやや高めになり、仕様変更などが発生すると追加費用がかかります。
一方、ラボ型契約は長期的な開発プロジェクトや、柔軟な対応が必要な案件に適しており、請負型契約に比べて単価を抑えられます。たとえば、新機能を順次追加していくWebサービスの開発や、社内システムの改修を続けていくようなプロジェクトでは、ラボ型契約がおすすめです。
契約形態を選ぶ際は下記を考慮し、請負型契約とラボ型契約を適切に使い分けましょう。
- プロジェクトの規模や期間
- 仕様の変更がどれくらい発生するか
- コストをどこまで抑えたいか
5.為替の影響
オフショア開発の単価は、為替レートの変動によって大きく左右されます。
たとえば、円安(1ドル150円→160円)が進むと、日本円の価値が下がるため、海外のエンジニアや開発会社への支払い額が増えます。仮にベトナムやインドの開発会社と1,000ドル(約15万円)で契約していた場合、円安が進むと同じ1,000ドルでも円換算では16万円です。
一方、円高(1ドル150円→140円)が進めば、日本円の価値が上がるため、同じ1,000ドルの契約でも支払い額は14万円となり、コストを抑えられます。
為替相場は、オフショア開発のコストに直接影響を与えるため、発注のタイミングや契約時の通貨選択が重要になります。
また、長期的な開発プロジェクトでは、契約時と実際の支払い時のレートが異なる可能性があることに注意が必要です。円安が続くと、当初の見積もりよりも支払いコストが膨らむため、為替リスクを考慮した予算管理をしなければなりません。
長期契約を結ぶ場合は、為替リスクを抑えるために「円建て(日本円での支払い)」を選択できるか確認しましょう。
オフショア開発の単価の動向

近年、オフショア開発の単価は上昇傾向にあります。以前はコストを抑えつつ、海外の優秀なエンジニアに開発を依頼できたものの、現在ではコストメリットが徐々に縮小しており、今後も上昇傾向が予想されます。
単価上昇の主な要因は、下記の3つです。
- エンジニア不足
- 円安の影響
- 各国の物価上昇
オフショア開発の主要拠点であるベトナムやインドでは、IT人材の需要が年々増加しています。これは、現地の企業だけでなく、日本や欧米などの海外企業も優秀なエンジニアを確保しようとしているためです。
人材獲得競争の激化が、エンジニアの給与水準を押し上げ、結果として開発単価の上昇に繋がっています。
また、ベトナムや中国、インドなどのオフショア開発拠点では、経済成長に伴い物価や生活費も上昇中です。その結果、エンジニアの給与が引き上げられ、開発単価の上昇に繋がっています。
オフショア開発の単価上昇は避けられないものの、適切な国や企業を選定すれば、コストを抑えつつ高品質な開発を実現できるでしょう。
オフショア開発の単価の相場

オフショア開発の単価の相場は、下記のとおりです。
平均人月単価 | プログラマー | シニアエンジニア | ブリッジSE | PM |
ベトナム | 39.4万円 | 48.3万円 | 59万円 | 70万円 |
フィリピン | 43万円 | 55.5万円 | 73.6万円 | 78.2万円 |
中国 | 44.4万円 | 58.3万円 | 65万円 | 75.3万円 |
ミャンマー | 26.9万円 | 41.9万円 | 55.6万円 | 66.9万円 |
バングラデシュ | 35万円 | 42.5万円 | 80万円 | 75万円 |
インド | 53.3万円 | 61.7万円 | 69.2万円 | 77.5万円 |
上記と自社の予算を照らし合わせて、依頼する国を選んでみてください。
オフショア開発の単価の相場の推移

続いて、オフショア開発白書をもとに、各国の2021〜2024年の単価 (プログラマー)の推移を紹介します。各国の単価の推移を把握し、見積もりや予算計画に役立てましょう。
ベトナム
ベトナムの単価の推移は、下記のとおりです。
2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
36.58 | 31.73 | 40.22 | 39.4万円 |
ベトナムのオフショア開発は、日本企業との相性が良いとされています。
ベトナムには、日系オフショア企業が多く進出しており、日本語対応が可能なエンジニアも比較的多い傾向にあります。そのため、日本企業が開発を依頼する際に、言語の壁によるコミュニケーションの問題が発生しにくく、スムーズにプロジェクトを進めることが可能です。
また、政府の支援によりプログラミング教育が普及し、エンジニアの技術レベルが向上しています。その結果、IT人材の供給が安定しており、一定の品質を確保しながら開発を進められます。
ただし、近年はエンジニア単価の上昇が進んでおり、以前のような「低コストで優秀なエンジニアを確保できる」メリットが薄れつつあるのも事実です。とはいえ、プロジェクト次第ではコストを削減しつつ、高品質な開発が可能です。ぜひ、オフショア開発企業に相談してみてください。
なお、SKILL BRIDGEではベトナムのローカルな実績を持つオフショア開発企業を掲載しています。「◯円でオフショア開発を依頼できる企業はある?」「どうすれば単価を抑えられる?」といった質問にも対応いたしますので、お気軽にご相談ください。
フィリピン
フィリピンの単価の推移は、下記のとおりです。
2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
33.93 | 36.25 | 35.83 | 43万円 |
フィリピンのオフショア開発の単価は、ベトナムと同等の水準にあります。どちらの国も比較的低コストで依頼でき、コストパフォーマンスのよさが魅力です。
また、フィリピンのオフショア開発は、英語対応の強さが大きな特徴です。フィリピンは公用語が英語であり、英語を流暢に話せるエンジニアが多いため、グローバル企業向けの開発案件が豊富にあります。
ただし、フィリピンには日本語に対応できるエンジニアが少ない課題があります。日本企業が開発を依頼する場合は、英語でのプロジェクト管理が必要なことに留意してください。
中国
中国の単価の推移は、下記のとおりです。
2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
41.60 | 42.09 | 50.51 | 44.4万円 |
中国は、高度な技術力を持つエンジニアが多いことが大きな強みです。
単純なシステム開発だけでなく、最先端技術を活用したプロジェクトにも対応可能です。特に、AIやブロックチェーンなどの先端技術を活用したシステム開発が可能であり、国内外の企業から高度な技術案件が多数発注されています。
ただし、国内の経済成長に伴いエンジニアの給与水準が上昇しているため、開発単価は上がり続けています。現在は、コストよりも技術力を重視する企業の発注が増えている状況です。
ミャンマー
ミャンマーの単価の推移は、下記のとおりです。
2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
27.27 | 24.47 | 27.47 | 26.9万円 |
ミャンマーのオフショア開発は、コストの安さが最大の魅力です。オフショア開発国の中でも最安クラスの単価で開発を依頼できるため、予算を抑えながらシステム開発を進められます。
また、ミャンマーでは日本語教育が進んでおり、日本語対応が可能なエンジニアも存在します。日本企業とのコミュニケーション面でのハードルが比較的低い点も、魅力の1つです。
ただし、政情不安によりプロジェクトに影響が出る可能性もあります。たとえば、突然のインターネット遮断や政策変更による事業環境の変化が起こる可能性があり、長期的な開発プロジェクトにはリスクが伴います。
ミャンマーを開発拠点として選ぶ際は、コストメリットだけでなく、リスクマネジメントの観点からも慎重に検討しましょう。
バングラデシュ
バングラデシュの単価の推移は、下記のとおりです。
2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
23.69 | 29.64 | 44.13 | 35万円 |
バングラデシュは、ミャンマーに続いてエンジニアの人件費が低いため、限られた予算内での開発がしやすく、コストを重視する企業にとって魅力的な選択肢です。
ただし、日本語対応が難しい点が課題です。現地のエンジニアは主に英語を使用しており、日本語を話せる人材はほとんどいません。そのため、日本企業が開発を依頼する際には、英語でのプロジェクト管理が必要です。
バングラデシュでの開発を検討する際は、コスト面のメリットだけでなく、言語面の課題をどのようにカバーするかを考慮しましょう。
インド
インドの単価の推移は、2023年から上昇傾向にあり、具体的な金額は下記のとおりです。
2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
33.36 | 34.72 | 50.83 | 53.3万円 |
インドは、下記のような高度な技術を持つエンジニアが多く、最先端技術を活用したシステム開発に対応できる開発会社が豊富です。
- 人工知能
- 機械学習
- データ分析
- ブロックチェーン など
単純なWebシステムやアプリ開発だけでなく、高度なアルゴリズムを必要とするプロジェクトや、研究開発を伴う案件に適しています。
また、インドは英語が公用語なため、アメリカやイギリスの企業と長年にわたり開発プロジェクトを進めてきた実績があります。そのため、英語でのやり取りが可能であれば、技術力の高い開発チームとスムーズに連携できるでしょう。
一方、日本語対応が期待できないため、日本企業が依頼した場合はプロジェクト管理が課題です。インドに依頼する場合は、英語でのプロジェクトマネジメント体制をしっかり整えましょう。
オフショア開発の単価を比較する際のポイント

オフショア開発の単価を比較する際は、コストだけでなく品質やリスク、言語対応なども考慮する必要があります。
なぜなら、安価な開発が必ずしもコストメリットにつながるとは限らないためです。単価だけを基準に発注すると、下記のような問題が発生し、結果的に余計なコストや時間を要します。
- 品質の低下
- 意思疎通の難しさ
- トラブル発生時のリスク増大
たとえば、開発後にバグが多発し、修正に時間がかかれば、修正コストやプロジェクト遅延により追加コストがかかります。単価の安さだけでなく、開発の目的や求めるスキルに応じて最適な国と企業を選べば、長期的な成功に繋げることが可能です。
どこに依頼するか迷う場合は、下記のように各国の強みと弱みを把握し、自社の開発ニーズに合った国を選びましょう。
比較項目 | ベトナム | フィリピン | 中国 | インド |
コスト | ◯ | ◯ | △ | △ |
品質 | ◯ | ◯ | ◎ | ◎ |
日本語対応 | ◯ | △ | △ | △ |
政治リスク | ◯ | △ | △ | △ |
※2025年3月現在
まとめ

オフショア開発の単価は、依頼する国やエンジニアのスキル、契約形態などさまざまな要素によって変動します。
また、近年はエンジニア不足や円安、各国の物価上昇により単価が上昇傾向にあります。単価だけで判断せず、開発の品質やリスクや言語対応も考慮し、コストメリットを最大化させましょう。
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